箱庭で遊ぶ日々

よく考えながら生活していくために

新しいホーム長,変化した感染対応

 98歳の父に会いにいけない状態が3週間以上続いている.コロナの感染者が施設内で発生したのが理由だ.外部から通っている介護職員が父の身の回りの世話をしているのだから,身内が父と接触しても何ら問題は無いはずだ.以前のように1階の応接室で会うことも可能だろう.それなのに頑なに「面会禁止」を貫こうとする.1名,2名,3名くらい発症したくらいのことで.いかにも「正しいことをやっているので,ご協力お願いします」という押し付けがましいメッセージが送られてくる.高齢者が隔離されたような状態で,家族や外部の者との接触をせずに過ごすことの問題点を考えていないのか.

父に会えないこと自体よりも,「会わせてもらえない」ということに腹がたつ.結果的には同じことだが「制限をかけられる」ことに反発を覚えるのだ.こんなことでいちいちイライラして疲弊するのは自分にとって損なことだとは思うのだが.

 この週末(7/16),父の着替えを持って施設を訪れた.直接訪問すればもしかしたら会わせてくれるかも知れないと思いながら.まつ毛がバサバサの新しい生活相談員に玄関口で出迎えられた.施設内には入れません,ということか,玄関先で父の洗濯物を交換した.対応は丁寧で父への用件もしっかり伝えてくれるようだった.改めて,いつになったら会わせてもらえるのか問うと,事務室から新しい施設長が現れた.4月には緊張した面持ちでビクビクしている様子であったが,見違えるようにしっかりとして,少し高圧的とすら思える態度に変化していた.「感染を抑えるのが自分の役目」との認識を持っているそうだ.本部の方針というわけではなく,「私の個人的な判断で,厳しい対応を取らせてもらっている」と自信満々に語った.コロナ感染を0にはできないだろうに.驚きだ.

 こうやって小さな権限を持ったものが「小さな権力者」になり,複数の人を巻き込んでいく.その様子を目の当たりにして驚くやら感心するやら.コロナ感染者を0にすることなど現実的で無いのに,そのことを目標として自己実現を図っているのだ.滑稽な現象だ.

 仕方ない.電話では父が元気なことが確認できているのでこれ以上面会の要求を続けるつもりがない.ただ,また,面会禁止,になった際には,具体的な感染者状況を確認したいと思う.私も意固地になってしまうところがある.長いものに巻かれろ,そうすれば自分の時間を消費せずにすむ,ということが往々にしていあるということだ.